お風呂は毎日の疲れを癒すのに欠かせない、大切な場所。リラックスしてゆったりと過ごす場所という印象が強い一方で、濡れた床やバスタブへの出入りなど、ちょっとした動作が思わぬ事故につながりやすい場所でもあります。特に足腰が弱くなり、日常の動作が負担になりやすい高齢者にとっては、転倒のリスクが高く、入浴への不安を感じることも多いでしょう。
このような不安をなくすために検討したいのが、バリアフリーを意識した浴室のリフォームです。今回ご紹介するポイントを参考に、将来の暮らしやすさを考えつつ、安心して入浴を楽しめる浴室にリフォームしましょう。
目次
住まいの設備の中でも、特に浴室のバリアフリーリフォームが大切だといわれる理由は、高齢者の死亡事故が浴室で多く発生しているためです。消費者庁によると、65歳以上の高齢者の死因のうち、「溺死・溺水」の約8割(※)が家庭内の浴槽で発生しています。
このほかに濡れた床面で滑ったり、浴槽の縁に足をひっかけて転倒したりと、浴室でのケガも多いです。高齢者の場合、転倒が原因で骨折してしまうと、介護が必要になるケースも少なくありません。中には、転倒をきっかけに、生活が大きく変わってしまうこともあるでしょう。
このようなリスクを減らし、安心して自立した生活を続けるためにも、将来にわたって安全性を確保するバリアフリーリフォームが求められているのです。
バリアフリーを意識して浴室をリフォームするときに、心がけたいのは次の4つのポイントです。
長く安心して暮らせる住まいのために、バリアフリーを意識して浴室内のリスクを避けましょう。ひとつずつ解説します。
まず意識したいのが、脱衣所から浴室への段差をなくして、フラットな入り口にすることです。入り口に段差があるとふとしたときにつまづきやすく、転倒リスクが高まります。
段差を解消するなら、システムバスへのリフォームを検討してみましょう。昔ながらの浴室は、洗い場の水が脱衣場に流れ出すのを防ぐために入り口に大きな段差が設けられていましたが、気密性や防水性も高まった現在のシステムバスに交換すればフラット化することが可能です。
また、開口部がゆったりとられているシステムバスを選ぶと、介助等が必要になっても出入りがスムーズです。
洗い場で椅子に腰掛けたり、そこから立ち上がって浴槽の縁をまたいだりと、浴室では立ったり座ったりする動作が多くなりやすく、足腰に負担がかかります。洗い場や浴槽周辺に動きを補助する手すりをつけるなど、年齢を重ねても自力で生活できるように工夫しておきましょう。
浴槽の「またぎ」とは、浴槽の縁部分のことです。「またぎ」が高すぎると、入浴時に足がひっかかりやすくなり、転倒のリスクが高まります。
またぎの高さはシステムバスのメーカーによって異なるため、実際にショールームでまたぐ様子を確かめたり、手すり付きの浴槽を検討したりするとよいでしょう。
昔ながらのお風呂によく使われているタイルの床は、濡れると非常に滑りやすく、転倒のリスクが高まります。安全性を高めるためには、水はけやクッション性に優れたシステムバスへのリフォームを検討しましょう。
システムバスのメーカーごとの床材の違いについては、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。
>>お風呂リフォームで床の冷たさを解決!TOTO・LIXIL・Panasonicのシステムバスの床材を比較
お風呂のバリアフリーリフォームをお考えの方はこちらの記事も参考にしてください。
>>お風呂リフォーム前にはショールームへ!見ておきたい7つのポイント
浴室で事故が多く発生する原因の1つに、寒暖差によって引き起こされる「ヒートショック」があります。ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い脱衣場に移動し、さらに熱い浴槽に急に入ることで引き起こされる循環器系の疾患のこと。めまいや失神をはじめ、症状が重いと脳内出血や心筋梗塞のリスクもあります。ヒートショックは入浴時の温度差によって起こる、急激な血圧の変動が主な原因です。
バリアフリーを考えるなら、ぜひ「浴室のあたたかさ」も意識して、リフォームのポイントを押さえましょう。具体的には、以下の2つのポイントにこだわるのが効果的です。
せっかくあたたかいお湯を溜めていても、熱が逃げるとお湯が冷めやすいお風呂になってしまいます。床や壁に、熱が逃げにくい断熱材を使った浴室にすると、冬場でも浴室が極端に冷え込みにくくなります。さらに浴室換気暖房乾燥機を取り付ければ、入浴前に暖房をつけておくことで、より暖かいお風呂で快適に入浴できるでしょう。
ヒートショックによる年間の死亡者数は、交通事故による死亡者数よりも多いともいわれています。バリアフリーのリフォームと共にお風呂のあたたかさも意識して、快適な浴室をつくりましょう。
ここからは、オンリーワンリフォーム石友が手がけた浴室リフォームの中から、特にバリアフリーを意識したリフォーム事例を紹介します。
Before
After
・エリア:石川県小松市
・リフォーム費用:83万円
・工期:6日間
・築年数:30年
・LIXIL リデア
こちらはタイル貼りのお風呂を、システムバスにリフォームした事例です。既存のお風呂もユニットバスではありましたが、入り口に段差があり、足の不自由な奥様にとって負担になっていました。負担なく入浴できるように、床がフラットなタイプのシステムバスに変え、浴室内で楽に動けるように壁面の手すりも充実!
寒さの要因になっていた窓を思い切って塞ぎ、新しく壁になった部分にもぐるりと手すりをつけています。窓を塞いだことによる断熱性アップと安全性を高めるバリアフリー化で、安心して入浴できるお風呂になりました。
お風呂リフォーム~温かくバリアフリーなお風呂に!/石川県小松市
Before
After
・エリア:石川県小松市
・リフォーム費用:160万円
・工期:14日間
・築年数:35年
・TOTO サザナ
こちらも昔ながらのタイル貼りのお風呂を、システムバスにリフォームした事例です。壁面と床がすべてタイル貼りのため、冬は冷え込みが一層強く感じられ、あたたかいお風呂にしたいというご希望からリフォーム計画をスタートしました。
冷たく感じられていた床のお悩みを解決するため、システムバスはTOTO「サザナ」をセレクト。冬でもひんやりしない感触と、触れたときのやわらかさが魅力の「ほっカラリ床」を搭載しています。
システムバスでお風呂の断熱性も高まり、さらに悩まされていたすき間風を改善するため、お風呂の窓も高性能なサッシを選択。埋め込み型の浴室換気暖房乾燥機も設置して、お風呂のあたたかさをさらに保てる快適なリフォームが実現しました。
浴室をバリアフリー仕様にリフォームすると、実際に住むシニア世代だけでなく、見守る家族の安心感も高まります。手すりの設置や入り口の段差の解消といったちょっとした工夫が、将来的に大きな安心につながるでしょう。
日常生活の不自由さが高まったり、介護が必要になったりしてから慌てないためにも、「まだ大丈夫だ」と思っている間こそ、リフォームを検討するチャンスです。迷ったときは、システムバスを展示しているリフォーム専門店のショールームを訪れてみましょう。「手すりを使うことで、立ち上がりやすさがどの程度変わるのか」「メーカーによって浴槽のまたぎの高さがどの程度違うのか」など、実際に体験して初めてわかることも多くあります。
オンリーワンリフォーム石友では、リフォーム経験の豊富なスタッフが、お客様のお話を丁寧に伺いながら、不安を解消するための具体的な提案をいたします。家族が安心して過ごせるように、将来を見据えた浴室のバリアフリーリフォームにご興味のある方は、ぜひお気軽にショールームへお越しください。
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